勉強会報告
報告者 :小 池 彰 (プラッサ代表)
秋の気配が濃厚になった11月17日、中野区女性会館にて「ストリートチルドレンを考える会」、「世界子ども通信『プラッサ』」の共同主催で、日本の子どもたちが抱えさせられてしまっている問題である「いじめ」と、それへの決して選んではいけない被害者個人としての解決策としての「自殺」。この私たち大人にこそ鋭く突きつけられた問題について、武田さち子さんからお話を聞く会を開催しました。
武田さんは今年7月、世界子ども通信「プラッサ」より、同名の書籍「子どもたちは二度殺される」を出版されました。ご自身のホームページでも子どもたちの「いじめ」「自殺」に関する膨大なデータを公開していますが、もっと多くの方に知ってもらいたい、ネットだけではなく文字としても知ってほしいとの強い思いから、出版という形もとられました。
「わたしは、わたしの子どもを殺したくなし、殺されたくない。そしてもちろん人殺しにもしたくない。その思いはきっと、どの親も同じだろう」
同書の後書でこう書かれています。
今回はそのような、武田さんが整理なさった事件、事例のなかから、いじめを苦にして自宅ベランダから飛び降り自殺した岩脇寛子さんの事例を中心として取り上げ、お話なさいました。
武田さんが子どもたちの「いじめ」「自殺」の問題と取り組まれたきっかけは、5年程前に、「三多摩『学校・職場のいじめ』ホットライン」のシンポジウムで、やはりいじめ自殺でお子さんを亡くされた前田さんとお会いしたことだそうです。前田さんのお子さんのケースでは、学校が「いじめはなかった」と子どもたちに強制することで問題を隠そうとする姿勢にショックを受けられました。
そして、前田さんのお父さんが「同情はいりません」とおっしゃられたことで、これらの問題を「自分たちの問題として考えなければならない」と強く思われ、資料収集をはじめられたそうです。
お話のなかで武田さんは、このような「事件」への対応はほとんどの学校が同じだとおっしゃっています。昔から「いじめ」はありましたが、最近は手口が陰湿となり、巧妙に隠蔽しようとします。また集団が、特定の個人を攻撃しています。
勉強会で取り上げられた岩脇寛子さんの事例でも、寛子さんが自殺したあと、警察は遺書には加害者名も書かれており、いじめが原因としましたが、学校側は両親へ何の報告もせず、その後の対応も問題を隠すことに集中しました。そのため、いじめはなくならず、加害者探しの噂だけが流れたりといったことが起こりました。
いじめ自殺でお子さんを亡くされた親は、まず何よりも「なぜ自分の子どもが死ななければならなかったのか」。その真相を知りたいと望みます。しかしそこに立ちはだかるのが学校なのです。いじめがおこなわれているクラスであっても、多くの場合、教師の関心は生徒一人ひとりのことではなく、まず成績に向いています。また教師間の関係も希薄で、クラスに問題があっても他の教師に相談することもないことが多いのです。とうぜん職員会議で議題とされることも稀です。
教師は、クラスをまとめることを優先し、また文部省の指示に従うことを優先しがちです。もし問題が広まれば、その担任教師の責任が問われてしまいます。こうして子どもを亡くされた親は、問題の原因が学校なのだと気づき、裁判でも、加害者やその親ではなく、学校を訴訟の対象とすることが多いのです。
また、寛子さんの遺書を例に取りながら、「子どもたちの遺書には、感謝や、謝りの言葉が多い。なぜなら子どもたちは、最後の瞬間まで『良い子』でいなければならないという気持ちがあるからだ」とおっしゃっていました。それとともに、怒りで一杯の遺書ではあるけれど、その怒りは加害者の子どもへだけではなく、世の中すべてへの怒りでもあることも指摘されました。
休息をはさみ質疑応答となりましたが、現職の教師の方、在日の子どもたちへの支援をしている方などからの発言が相次ぎ、活発な意見交換のうちに終えることができました。
なお、「子どもたちは二度殺される」に関するお問合せは下記までお願いします。
プラッサメール: praca@jca.apc.org(Office)
プラッサURL: http://www.jca.apc.org/praca/
参考資料:「子どもたちは二度殺される」(世界子ども通信「プラッサ」)
「三多摩『学校・職場のいじめ』ホットライン学習会」(プラッサ15号)